【講座レポート】0から始める!市民活動団体のための会計初級講座
■講座レポート
平成26年度 第2回 出前講座
0から始める!市民活動団体のための会計初級講座
●講師:笹舘 公男氏(税理士 東北税理士会仙台北支部所属)
●日時:2014.11.21 14:00~16:00
市民活動団体の会計は一般企業と異なり、自分の団体の活動に共感を得てもらうためのツールになります。今回は、滞りのない透明性のある会計処理の基本となる帳簿のつけ方や領収書の整理の仕方などを学びました。
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【会計の目的とは】
・会計とは、「アカウンティング(Accounting)」=「説明」である。
→説明は、団体内部はもちろん、団体に関わろうとしている人、サービスを受ける人に、自分たちの活動をより理解してもらい、共感してもらうために行うと考える。
特にNPO法においては、毎年の活動情報の公開が求められる。(活動計算書の提出など)
【勘定科目の設定】
・勘定科目とは、電車賃・バス代・車代など似た性格の項目を「旅費交通費」などの1つに括って分類したものである。
→一般的な慣習を配慮しつつ、説明しやすい勘定科目の名称を考える。
≪注意の必要な項目≫
反対給付(お金をもらう代わりに何かものやサービスを提供すること)を求められない収入
「補助金」:国・地方公共団体から交付される
「助成金」:民間の助成団体等から交付される
反対給付を求められる収入
「委託事業収益」:行政機関等のから事業を実施するために委託を受け、契約で締結された内容を完了したことにより得られる
【帳簿のつけ方】
・帳簿とは、財産が増減する動きを明らかにするための書類である。
簿記では、主要な帳簿として「仕訳帳」と「総勘定元帳」の作成が求められる。
◎仕訳帳
仕訳帳とは、日々の取引を記録した帳簿である。
そのうち現金に関する取引は「現金出納帳」に記録する。
→現金出納帳は、「サイフ」である。
サイフの中身と一緒で、残高0円があっても赤字にはならない。
現金出納帳には、日付、勘定科目、摘要、金額(収入/支出)、残高を記載する。
・日付の記載
現金が移動する日の日付を記帳する。
領収書日付で記帳しては、現金の実際の残高と合わなくなってしまうため、注意する。
・摘要の記載
どこからの入金・出金であったか、どのような内容であったのかを記帳する。
領収書の日付と実際の出金日などが違う時には、領収書の日付も書くと分かり易い。
・領収書がない場合
→団体としての支出であることが説明できるようにする。
香典、祝金など…会葬礼状、案内状、挨拶状などに金額を記載する。
自動販売機など…支払証明書を作成する。
(支払日、支払先、支払事由、金額、精算日、支払者などが分かる資料)
交通費など …交通費精算書を作成する。
(日付、訪問先、業務内容、交通機関・区間、金額などが分かる資料)
【証憑書類(領収書など)の整理方法】
・証憑書類は、分類、整理をせずに時系列に綴じる。
→前後の記録から、いつ頃のものなのか判断がつくため、見つけやすくなる。
≪便利なツールを利用≫
「NPO会計日誌」
NPO会計日誌は、日誌形式で、1日1ページ、右側に入出金の流れを記帳し、左側に証憑書類を添付することができる。
◎総勘定元帳
総勘定元帳とは、勘定科目ごとに日々の取引を記録して集計したものである。
取引が多くなる場合、勘定科目の金額の内訳を説明するために必要となる。
→会計ソフトを導入すれば、自然に作成も可能。
【金銭的トラブルが起きないように】
・特定な1人にお金の管理などを任せきりにしない。
→一定額以上の支出に関しては、複数の担当者の承認を要するなどの決まりをつくる。
数か月に一度の外部監査を実施するなども有効な手段。
【講座参考資料】
NPO会計マニュアル
http://blog.canpan.info/npotokyo/category_4/1
発行:NPO会計税務専門家ネットワーク
NPO会計日誌
発行:NPO支援東京会議
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講座後のアンケートには、「現金出納帳=サイフという考え方が分かり易かった」という感想が寄せられました。会計ソフトを導入している場合にも、もし現金の残高がマイナスになっていたら、入力ミスなどがないか確認が必要です。
また、講師の笹舘先生は「帳簿はきれいである必要はなく、正確さが大切だ」と強調されていました。何のために帳簿をつけるのかを心にとめて、日々の会計処理を行いましょう。