みやぎNPOフォーラム2022開催!
12月11日(日)、みやぎNPOフォーラム2022を開催しました。
このフォーラムは、NPOや市民、企業、行政など多様な主体の交流を目的として、年に一度開催しているものです。会場とZoomを併用するハイブリッドで行いました。
■講演「協力のテクノロジー~「違う」を大切に協力できる地域をつくる~」
講師は、今年4月に『協力のテクノロジー 関係者の相利をはかるマネジメント』を発行された、松原明さんをお迎えしました。
地域には利害関係がバラバラな人たちが存在し、この地域全体をいかにマネジメントしていくかが重要です。ひとつのNPOの力だけでは地域を良くすることはできません。多様な関係者に協力してもらう地域マネジメントが必須です。
ともに同じ目的に向かって、同じように活動する(協力1.0)、ともに目的が同じであるものの、取り組みの主体を支援者がサポートする(協力2.0)というのが、これまでの協力の主流でしたが、松原さんが提唱するのは協力3.0へのバージョンアップです。
協力3.0のポイントは、みんなが得たい利益が違うことです。それぞれの利益は違っても、それぞれが目的を実現する状態を「相利(そうり)」と言います。「相利評価表」を使い、関係者とそれぞれの課題や利益などを整理し、どのような活動ができるかを考えます。相利が実現できれば、反対意見の人とも協力することが可能です。
NPOの力の源泉は協力です。自分の力だけでは世の中は良くならないという認識のもと、市民や自治会、NPO、企業、行政などと共に活動する必要があります。だからこそ、関わる人皆に利益が出るようなプログラムを作ることがポイントです。
■事例紹介「ステークホルダーとの話し合いの場を経験して」
NPO法人おおさき地域創造研究会事務局長の小玉順子さんからは、行政との協力の事例が紹介されました。
大崎市移住支援センターを運営する研究会では、全国の自治体が「我がまちに移住を!」としのぎを削るなか、近隣の自治体と連携して取り組み始めました。
移住者の誘致でライバル関係にもなる自治体同士が、県北地域に興味を持ってもらうという共通の目標に向かって知恵を出し合うことで、期待以上の移住者を獲得し、協力で何倍もの成果が出せることを体感しました。
また、この連携により「家族で移住したい」「農業をしたい」等、一つの市町では果たせない移住者それぞれの希望に沿えるようになり、セールスポイントが増えるという相利ができました。
この事業を相利評価表にまとめた松原さんと小玉さんは、「課題を評価表に当てはめると俯瞰でき、もっと関係者を増やしたくなる」と話します。
最後「NPOは自分だけで全部できると言ってしまいがちだが、意識して連携する仕組みを作ることが大事。関係者を増やす相利評価表をぜひ使ってほしい」との松原さんのメッセージで締めくくられました。
参加された皆さんが、最後まで真剣に聞いている様子がとても印象的でした。
みやぎNPOプラザでも、このフォーラムを契機に、協力3.0を推進していきたいと思います。