NPO、町内会の連携プレー
NPOと町内会などの近隣組織との関係は依然として微妙です。思い切って単純化して言ってしまえば、NPO的な枠組みが日本の社会に入ってきた当初から、町内会などの伝統的な近隣社会組織(といった言い方になります)はNPOに警戒的でした。
NPO法が平成10年に成立して数年の間、「NPOとは何か」を説明するチャンスを何度かいただいたことがあります。当時、米国のNPO環境をモデルに日本の社会への応用を考えていたので、NPO的な価値観や枠組みを信じていました。この種の環境を日本人が使いこなせるようになれば、新しい時代がきっと来るに違いないと思っていました。そんな思いが露骨に出ていたかもしれません。地域の町内会、自治会のリーダーらの反応は一様に冷淡で、警戒心に満ちたものでした。説明すればするほど、白けた雰囲気が漂ったのを今でもはっきり覚えています。
いろいろな縁でみやぎNPOプラザで役割を果たす立場になっても、そのことがいつも気になっています。折に触れて、NPOと町内会の距離、温度差を自分なりに測定する癖がついています。断言はできないのですが、自分の届く範囲で考える限り、地域の社会問題を解決する、重要なプレイヤーとしてNPOも町内会も、その他の団体も個人も、建設的に振る舞う必要があると思います。
先日お会いしたNPOのリーダーとの間で、偶然、そんな話になりました。
「この土地でもう10年もNPOやっていますが、わたしはいまだによそ者なんです。地域を少しでもよくしようと考えるなら、町内会にもかかわり、役割を引き受け、一緒に動く機会を作るつもりでないと、とても分かってはもらえません」
このリーダーとは、20年近く前から、共に動き、組織や関係を作り上げてきました。達成感だけでなく、挫折感をも共有できる数少ない1人です。理屈先行がちな自分とは違って、ボランティアやNPOの本質を実践面でおそらく誰よりも理解している1人だと評価しています。NPO分野の実践例をいくつも作ってきた人ですが、この人の言葉から町内会などの伝統的な近隣社会組織を否定をするニュアンスを感じたことはありません。理念や歴史的背景、問題解決の手法など、いろいろな点で前提を異にするプレイヤーがどう連携していくか。地域が抱える多様で複雑な社会問題を解決するうえで、重要なポイントをあらためて教えてもらったような気がしました。