サンフランシスコのアーバンフォレスト
長い間、NPOの世界であれこれ考えたり行動したりしていると、自分にとって分かりやすい、つぼのようなNPOの形が幾つか見つかるようです。
サンフランシスコにある「 Friends of the Urban Forest」がその一つでした。直訳すると「都市の森の友たち」となるでしょうか。
12年ほど前、たまたま知人の案内で立ち寄りました。オフィスにいたスタッフの話によると、都市の緑化に取り組んでいるNPOでした。新しい住宅地や緑の少ない地域で、街路樹を植えたいという希望がある場合にサポートするのが仕事でした。
サンフランシスコ地域はもともと砂漠でした。都市化が進むにつれて住宅地が外縁に向かうとともに、人が住むにふさわしい緑をどう導入するかが大きな社会的テーマになりました。
「 Friends of the Urban Forest」は、都市づくりや森林資源、環境などの専門家とのネットワークを持ち、地元に緑化プランがあるところに限って支援していました。地元に動きがある、住民が主体的に参加する動きを支援する点がみそです。緑化に必要な資金の調達についても専門的な見地から支援していました。1981年以降、4万7千本の木を植えたそうです。
地域に計画があって、市民がボランティアで参加する動きがあるところに、専門的な知識や技術を持つNPOがかかわる形です。当時も、日本の都市の緑化は自治体の公的な取り組みであることが多く、樹木の選定段階から市民とNPOが協働する姿は非常に新鮮に映ったものです。
米国モデルのNPOを理屈で理解するとともに、市民と専門家たちとのジョイントの現場をひとつひとつ回ることで、やっと実像がつかめたような気がしました。その点、今の日本にはNPOの現場が多様かつ無数にあるので、その気になれば自分に合ったモデルに必ず出合えるはずです。
▽「 Friends of the Urban Forest」のウェブサイト
▽「 Friends of the Urban Forest」とは(Wikipediaより)