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あらためて考えたい。「NPOらしさ」とは

 最近、NPOで働く環境が次第に整ってきたように見えます。「NPOで働くとは」といったテーマの講座やセミナーが目立つようになりました。

plza_photo02.jpg  「NPOで働くとはどういうことか?」という質問は、NPOの枠組みを日本に持ち込んだ当時、米国のNPOの関係者に会えば必ず投げ掛けた質問の一つです。20年近く前のことです。返ってきた答えのうち最も重要だと今でも考えているのは以下のようなパターンです。

  「NPOには普通の企業では得られない魅力があります。それは自分の仕事を本当に自分の仕事だと思えることです。上司や組織の都合が優先されるのではなく、自分の意思や能力から多くのことが始まるのがNPOの魅力です。失敗も含めて納得のできる仕事をしたい。給料の多寡ではないんです」

 NPO、非営利の世界には、やはり営利企業とは基本的に異なる価値観を投入すべきでしょう。ポイントは、NPOの現場にかかわる人の思いを尊重しながらNPOとしての仕事を組み立てることです。その点が、企業運営とは全く異なる目配り、気配りを要するゆえんです。メンバーの気持ちを最優先に考え、しかもコスト効率を追求し、成果まで導き出さなければなりません。民主主義や市民参加、議論を通じて進む-といった感覚に乏しい日本においては、NPO本来が抱える難しさといっていいでしょう。観点を少し変えると、NPOにとって本来、欠かせない要素である「ボランティア」の参加シナリオを、どれだけ本気になって考えうるかといった問題にもつながります。

 資金調達や組織マネジメントも含めて、NPOが持続可能なプレイヤーになるのは大変なことです。だから、これまではとかく組織基盤の強化に関する議論が先行しがちでした。ややもすると、企業と変わらない組織の論理やムードが支配的になっている事例も多々あります。

 今年3月末までの40年間、わたしは企業の中で生きてきました。40代以降の20年間はボランティアやNPOの世界にもかかわってきましたが、何と言っても企業育ちです。そのせいか「企業的なるもの」へのアンテナだけは高くなってしまい、事業性を追い求めるあまり、過度に企業的になっている事例には戸惑いを覚えます。

 NPOに関する議論が日本でも始まったばかりのころ、幾つかの「外来語」をNPOのポイントだと思い込みました。たとえば「NPOはミッション(Mission)が大事」という常とう句をよく使ったものです。「ミッション」を日本語にすれば「使命」「理念」ということになるでしょうが、営利企業だって、企業の憲法でもある「定款」の前に「理念」を掲げています。

 また、NPOを説明するのに「社会貢献」を強調したがる傾向があったかもしれません。しかしながら、営利企業だって、社会に貢献するために事業に取り組んでいます。重要なのは「どう社会貢献するか」です。

 これらはすべて企業の経営者らから早々とたしなめられたポイントです。恥ずかしながらNPOを特別視する気持ちが裏目に出ました。一昔前の消化不良を振り返ってもあまり意味はありませんが、NPOがまだまだ特殊な存在だったころのイメージを自ら一掃します。地域に存在する多様なプレイヤーたちとも協働できるNPOのありようについて実地に考えてみたいのです。

 写真はみやぎNPOプラザの「交流サロン」です。
(館長K)