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20年の間に見えてきたもの

 かつて設立からかかわったNPOが、2015年のことしで20周年を迎えると聞きました。もうそんなにたったのか、と当時のあれこれを思い出しました。やや手前みそですが書きとめておきます。

 当時はまだNPO法ができていませんでした。NPOという呼称も日本ではなじみがなく、主に「市民活動団体」「市民組織」などと言っていました。「ボランティア団体」とも呼びましたが、あのころの「ボランティア活動」は公私の別があいまいな場合が多く、会長宅に関連記録が保管されていたり、よほど大きな(半ば公的な)団体でなければ、自前の事務所を持つ発想自体、レアケースでした。

 そうしたボランティア活動とは異なる、もっと開かれた、市民が参加しやすい民間活動を提案するつもりで取り組みました。同じころに仙台市内で活動していた団体のリーダーたちの何人かは、同じような理想を掲げ、今でも、NPOの分野を支えています。

 20年前にかかわった市民活動団体はNPO法人「シニアのための市民ネットワーク仙台」(通称シニアネット仙台)です。高齢社会を迎えるにあたってシニア世代がまず自立することを狙い、さまざまな活動を繰り広げてきました。当時、日本で「シニアネット」と言えば、パソコンを活用する高齢者のグループが多く、仙台でもシニアネット仙台から分かれる形で、同様のグループができました。

 シニアネット仙台はそうではありません。シニア世代が向き合う問題や関心を反映する活動に取り組むのが設立の狙いでした。シニア世代のIT活用を含め、活動の間口はとても広くなっています。一点集中型の市民活動と違って活動グループひとつひとつの規模は小さくなりがちですが、それだけに親密な関係が築かれています。シニア世代の市民活動に参加を希望する「団塊の世代」が自分の関心に合わせて、いつでも活動をスタートさせることができるのも特徴でしょう。

 補助金や助成金をどこからももらわずに自前の努力で活動拠点を維持しています。「サロンわい・わい一番町」と名付けた活動拠点は、仙台市の繁華街、一番町のビルの8階にあります。健康麻雀と呼ぶ活動を発足直後に事業化し、サロンの家賃や光熱費などの維持費を自力で捻出しています。もともと健康麻雀教室は、自宅に閉じこもりがちな高齢者が週に1度は街中に出る機会を作ろうという趣旨で始まりました。活動拠点の維持を初めから意図したわけではありません。組織内のお金の事情を踏まえ、人間関係の工夫を重ねるうちに現在の形になりました。

 助成金や業務委託等に頼らず、活動拠点を長年、自前で確保し、運用している点で、地味だけれども「奇跡のような市民活動」というのが個人的な評価です。もちろん、多くの会員がボランティアとして支え、古くから活動に理解してくれている協力者も多数いる点がこの団体の財産と言えるでしょう。

 400人を超える会員の1割弱が発足直後からの会員だそうです。ということは、20年の間、規模の大きなメンバー更新を経て、現在に至っているわけです。発足直後の会員がそのまま高齢化している、何となく静的な団体に見えていましたが、そうではないわけです。
(館長・K)